漫画や小説のアイデアの出し方|才能に頼らないストーリー創作の基本とは

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漫画や小説のアイデアを出すには「自然に降ってくる」のを待つしかないのでしょうか。そんなことはありません!アイデアの出し方の基本を知っておくことで、自分からアイデアを探しに行けるようになります。一般的に知られている「アイデアの出し方の基本」を解説します。



アイデアの出し方の基本

アイデアの出し方の基本は「元ネタ」を使ってアイデアを出すことです。

「元ネタを使う」というと、盗作をするようなイメージかもしれませんが、そうではありません。他人の作品や、リアル世界にあるさまざまな要素を組み合わせて、新しいアイデアを生み出すということです。

有名なベストセラー『アイデアのつくり方』では、その点が以下のように書かれています。

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、以外の何ものでもないということである。

出典:ジェームズ・W・ヤング『アイデアのつくり方』今井茂雄訳 P28

つまり、この世界にあるさまざまな「既存の要素」を持ってきて、「新しい組み合わせ」を考えることが、アイデアを出す方法の基本ということです。

これには、他人の作品を「元ネタ」として、新しい組み合わせを考えることも含まれます。

詳しい方法はこのページの「元ネタを使ってアイデアを出す方法・コツ」の項目を参照してください。

元ネタを使うのは悪?そもそもオリジナリティとは

「元ネタを使う」という言葉に抵抗を感じる人は、もしかしたら「オリジナリティ」について誤解をしている可能性があります。その点に誤解があると、アイデアを生み出せないスランプに陥ってしまうかもしれません。

念のため「オリジナリティとは何か」という点を確認しておきましょう。

「完全オリジナル」は存在しない

何もヒントにせずに考えたアイデアを「完全オリジナル」とするなら、そのようなものは存在しないというのが、多くのクリエイターの基本スタンスです。

『キャラクター小説の作り方 』という本では、その点が以下のように解説されています。

『ぼくたちの作るものは、決してぼくたちのオリジナルではありません

…(中略)…

ぼくたちは全く何もないところからすべてを作り出すのではなく、先人の作った財産の上にあくまでものを書いているのです』

出典:大塚英志『キャラクター小説の作り方 』(星海社)

自分としては「自然に湧いてきた」と思ったアイデアも、これまで見てきた作品の影響がゼロとは言い切れないでしょう。

仮に「他人の作品を何も見てこなかった」という人でも、リアル世界の何かをヒントにしているはずです。

そういう意味で、「元ネタ」がなければアイデアを出すことはできないともいえます。元ネタを使うのは悪いことではなく、むしろアイデアを出すために必要なことでもあるのです。

「オリジナリティのあるアイデア」って何?

そもそもオリジナリティとは「元ネタがない」ということではなく、元ネタの「アレンジ方法」や「組み合わせ方」に、目新しいものがあるかどうかです。

紹介した文献『アイデアのつくり方』の中で、アイデアとは『新しい組み合わせ』とあったとおりです。

さまざまな作品を元ネタとしながらも、「その組み合わせは、今までになかった」というものを見つけることが、オリジナリティのあるアイデアを出すということなんですね。



元ネタを使ってアイデアを出すメリットとは

これまで考えたように、アイデアの出し方の基本は「元ネタを使うこと」ですが、この手法にはいくつかのメリットがあります。

「無意識の盗作」の防止になる

元ネタを使ってアイデアを出すことを意識的に行うと、「無意識に盗作してしまう」という事態を避けやすくなります。

「自分の中から湧いてきた」と思ったアイデアが、冷静に考えると何かの作品にそっくりということは、意外にも「よくあること」です。

それは「偶然、似てしまった」という場合もありますが、好きな作品や最近読んだストーリーなどの影響を「無意識に」受けてしまったことが原因であることが多いでしょう。

日ごろから元ネタを意識して創作していれば、「この部分を変えないと、あの作品のパクりになる」と気づきやすくなり、無意識にパクることを防止できるのです。

逆に斬新なストーリーを作りやすくなる

元ネタを意識して創作することは、斬新なアイデアを生み出すスキルを磨くためにも有効です。

日ごろから元ネタを探していると、「世の中にどんな作品があるか」を把握しやすくなります。作品同士の関係性や、似ている部分にも気づくようになるでしょう。

その結果、「今までにない組み合わせが何か」が見えやすくなるというわけです。元ネタ探しのデータベースが、斬新なアイデアのカテになるということですね。

アイデアがどんどん出てくる

元ネタを使うことを恐れない人は、安定してアイデアを生み出すことができます。

元ネタを使えない人は、「アイデアが自然に降ってくる」のを待つしかないので、よほどの才能がなければ、いつかアイデアが尽きてしまうでしょう。

アイデアを出すのに元ネタが必要だと自覚している人は、アイデアのヒントを探して他人の作品を見たり、好きな作品のストーリーを思い返したり、調べ物をしたりすることで、アイデアを自分から「探しに行く」ことができます

その結果、継続的に、安定してアイデアを出しやすくなるのです。

元ネタを使ってアイデアを出す方法・コツ

では具体的に、元ネタを使ってアイデアを出す方法を見ていきましょう。

できるだけ「別ジャンル」の元ネタを探す

例えばSF作品を作るとして、他のSF小説から元ネタを探してもパクりになりやすく、あまり意味がありません。「別のジャンル」から元ネタを探すのがおすすめです。

以下に貼りつけた岡田斗司夫先生の動画では、マンガ『デスノート』を参考に恋愛モノのストーリーを作るという例を使って、アイデアの出し方を解説しています。

別ジャンルだけでなく、例えば小説のアイデアの元ネタとして映画やゲームを使うなど、「別メディア」から持ってくるのもおすすめです。

「個性の強い要素」を外し「別の要素」を組み合わせる

盗作にならないようにするために、元ネタにする作品に「別の要素」を組み合わせましょう。このとき、元ネタから「個性の強い要素を外す」ことが重要です。

例えば『アルプスの少女ハイジ』を元ネタにする場合、「山の上に一人で住む偏屈なおじいさんと一緒に暮らすことになった、身寄りのない女の子」だと、元ネタの個性がそのまま残った状態です。

でも「偏屈なおじいさん」や「身寄りのない女の子」という個性の強い要素を外せば、「山の上に一人で住む男と一緒に暮らすことになった、女の子」となり、個性が消えます。

ここに「モグリの天才外科医」と「奇形腫から取り出した女の子」という別の要素を組み合わせれば、『ブラック・ジャック』です。

このように個性の強い部分を外して、別の要素を当てはめるというのが、元ネタを使ってアイデアを出す方法の基本です。

「外見」は基本的に使わない

「外見」つまりキャラの外見や、絵のタッチなどは、それだけで個性が強いため、基本的には使えません。

よくある外見ならいいのですが、「この配色とデザインといえば、あのキャラだ!」とすぐに連想されるような外見を使うのはNGです。

逆に言えば「できるだけ見た目が似ないようにする」ことが、パクりを避ける基本でもあります。

キャラ一人ひとりの外見だけでなく、作品全体でのビジュアル面が「なんか、あの作品みたい」と思われないように注意することが重要です。

まとめ

アイデアの出し方の基本は「元ネタ」を使うことです。

漫画や小説のアイデアを出すには、他人の作品を含めた世の中にあるさまざまな材料を「元ネタ」として、「新しい組み合わせ」を考える必要があります。

アイデアが自然に湧いてくるのを待つのではなく、元ネタを積極的に「探しにいく」ことで、安定してアイデアを出すことができるのです。

この記事で紹介した文献

ジェームズ・W・ヤング『アイデアのつくり方』今井茂雄訳

大塚英志『キャラクター小説の作り方 』(星海社)