ストーリーの作り方

「風の谷のナウシカ」の「もうひとつのオープニング」とは?!

投稿日:2015年12月28日 更新日:

「風の谷のナウシカ」BD/DVDには、かなり濃い内容のコメンタリーが付いています。

コメントをしているのは、ナウシカでは原画を担当し、「エヴァンゲリオン」の監督で有名な庵野秀明と、ナウシカの演出助手を担当した片山一良です。

この記事はその感想と、勉強になったことのメモです。主にナウシカの「もうひとつのオープニング」についてです。

風の谷のナウシカ [デジタルリマスター版DVD]

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採用されたオープニング

まず、今のオープニングのおさらいです。まずユパがなにやら異様な植物(腐海の植物)に覆われている村を探索している場面です。

滅びた村を探索するユパ

「風の谷のナウシカ」より―滅びた村を探索するユパ

村が完全に滅びている様子を見て、ユパが一言つぶやきます↓

「また村がひとつ死んだ…」

「また村がひとつ死んだ…」とつぶやくユパ

「風の谷のナウシカ」より―「また村がひとつ死んだ…」とつぶやくユパ

と、これが採用されたオープニングですが、没になったオープニングとはどんなものなのでしょうか?なぜボツになったのでしょうか?

ボツになったオープニング

ボツになったオープニングについては、ここの場面のコメンタリーで説明されています。以下、一部を引用します。

片山「ボツになったコンテで…ユパがダイオウヤンマに…かな?蟲にさらわれたテトを助けるところから始まるはずだったんだけど

(中略)

…で、そのまんま、オープニングが終わって…ユパが追われてるってくだりに、なだれこむはずだったんだけど…」

―「風の谷のナウシカ」BD/DVDオーディオコメンタリーより

本編では、オープニングの後、ユパが蟲に追われているシーンがありますね。追われていた理由については、ユパが説明するだけです。

テトを見せて、「こいつが羽虫にさらわれているところを、人の子と間違えてな…つい銃を使ってしまった。」と説明するだけ。

「もうひとつのオープニング」は、この「ユパが蟲に追われていた理由」がわかるシーンだった、ということでしょうね。

ボツになった理由とは?

ボツの理由についても、コメンタリーからわかります。以下、その引用です。

片山「ユパの視点から、世界の、大きな状況を見せていくっていう方向に変わっちゃったんだよ…まあでも一番映画らしいよね」

庵野「いやあ…こういうふうにしないとお客さんわかんないと思いますよ。」「『また村がひとつ死んだ』ってこの一言でパパッと説明できてるわけじゃないですか…」

―「風の谷のナウシカ」BD/DVDオーディオコメンタリーより

確かに、「もうひとつのオープニング」では、「なんか、でっかい蟲が登場する映画なんだな」ということは伝わりますが、「腐海が人間社会を侵食している」という肝心の設定が伝わらないですもんね。

とても勉強になる改善だと思います。

「映画の作り方」の基本が学べる

コメンタリーではこの改善について、「映画らしい」オープニングになったと説明していますが、どういうことでしょうか。

私はこれを聞いて、シド・フィールドの本の一節を思い出しました。

映画の基本である「三幕構成」について書かれた本で、映画の基本中の基本が書かれていている本ですから、無関係ではないと思います。

以下、引用します。第7章「ストーリーの設定」からです。

「脚本が始まれば、すぐにでもストーリーの設定を提示しなければならない…(中略)…脚本は映像で物語るものだから、視覚的に、映像によってストーリーの説明をすることが重要である」

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと―シド・フィールドの脚本術より

確かにナウシカのオープニングは、「また村がひとつ死んだ」という一言だけで、「腐海が人類社会を侵食している」という設定が説明されています。

そういう意味では、「ナウシカ」って、映画のオープニングのお手本ですね。

かなり面白いコメンタリーです

このコメンタリー…勉強になることが山盛りです。

宮崎駿の「簡略化」の上手さなど、庵野秀明の視点から、宮崎駿の演出のどこが上手いのか、何がすごいのかが語られています。クリエーターにとって参考になることが山ほど盛り込まれていると感じました。

今回紹介したDVD

風の谷のナウシカ [デジタルリマスター版DVD]

余談ですが、BD版よりもデジタルリマスター版DVDの方が新しいんですね。画像の質も、BD版より良いという…。

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