映画『日本のいちばん長い日』(1967年版)ネタバレ感想。面白さ分析

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終戦70周年記念ということで、2015年にリメイクされた「日本のいちばん長い日」。この記事は、1967年版の感想と分析です。(ネタバレあり)この映画がなぜ面白いのか、構成などを分析します。



エンターテイメントとして凄い!

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現実にあったことを描く話で、「戦争と平和…日本と終戦」という表面的なメッセージだけでなく、人間の生き方について伝わってくるまじめな映画です。

「白黒かよ~古いな~」と敬遠すべきではありません。この映画は1967年、カラー時代の作品です。「あえて白黒でやった」ということをふまえて観るべきでしょう。

この映画のすごいところのひとつは、現実にあった話で重いテーマなのに、エンターテイメント映画としてよくできている点だと思います。

こういうまじめな映画でそれをやると怒られるかもしれませんが、以下、「なぜ面白いのか」を分析しちゃいます。

冒頭で引き込む演出

まず冒頭の数分で、とにかく負け戦、早く終戦に持ち込まないと大変なことになるという印象を強く持たせています。

「終戦に持ち込んで、日本を守る」というのが、主人公の目標であり、映画全体の目指すゴールというわけです。

観る側も、主人公に感情移入して「早く終戦に持ち込んでほしい」という欲求が高まります。

このように、主人公に目標を持たせることで、ストーリーに引き込むというのは、ハリウッドで主流の、エンターテイメント映画の王道テクニックですね。

この点からも、この映画がエンターテイメント性に優れていることがわかります。

葛藤で盛り上げる

主人公の目標がはっきりしたところで、次に来るのはもちろん「葛藤」です。

主人公の目標を阻むような「葛藤」によって、ストーリーが盛り上がります。ハリウッド式三幕構成でいうところの第二幕ですね。

主人公の目標は「終戦に持ち込むこと」でしたが、それを阻む勢力が現れます。陸軍の中で、反乱分子がひそかに活動を始め、なんとしてでも戦争を続行させようとします。

観客の集中力の限界を考慮

そして、ちょうど映画の真ん中あたり。観始めてから一時間以上たって、観客の集中力も切れてくる時間です。ここで、さらに観たくなる演出がされています。

玉音放送の文言の作成が終了し、一息ついた内閣の面々。その時、彼らの脳裏に浮かんだのは、もし終戦に持ち込めなかったら、日本中がむちゃくちゃになるというイメージ。

この演出で、先ほどの「早く終戦にしてほしい」という、観客の願望を再加熱させています。

そして気になる一言…「長い一日は半分しか終わっていなかったのである」というナレーションが入ります。

「え?なにかが起こるの?反乱分子がやらかしちゃうのか?!」という気持ちになって後半も目が離せなくなっちゃいます。

つまり、以下の流れの演出が、ふんだんに盛り込まれているわけです。

  1. 観客に欲求を植え付け、それをときどき再加熱させる。
  2. その欲求に逆行する流れを作り、「もしかして欲求がかなわないかも」ということをほのめかす。

参考になったこと

この映画は、「続きが見たくなる工夫」を学べるよい実例だと思います。特に、映画の真ん中あたりをどのように工夫すればよいのか、勉強になりました。

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