マンガの心理描写のコツ｜小説の「地の文」を使えば、心理描写の幅が広がる！

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「マンガは心理描写が大切！」とよく言われます。しかし「心理描写」って一体何なんでしょう？それについては、「小説の心理描写」がカギを握っていると思うんです。この記事では「HUNTER×HUNTER」を例に、小説っぽい心理描写をマンガに取り入れることを考えてみたいと思います。

「地の文」はマンガでも重要

アニメ版「HUNTER×HUNTER」キメラ・アント編について、「ナレーションが多すぎる」「セリフだけで話を進めろ」と、ネット上で叩かれたことがあるみたいです。

マンガ版だと25巻のあたりですね。

富樫義博「HUNTER×HUNTER」カラー版25巻より―地の文を使った心理描写

キャラのセリフでも心の声でもない、ナレーションみたいな文章が、たくさんあります。

アニメだとナレーションだと思いますが、マンガでは「地の文」だと思います。

「地の文」というのは、小説の「セリフじゃない文章」のことですね。情景を描写したり、登場人物の内面を描く部分です。つまり、小説の心理描写の要ですね。

小説はこの「地の文」を使って、キャラクターの内面をかなり自由に表現できます。

それで小説は「心理描写」という面で、アニメとか実写映画とか演劇など他の表現手段よりも優れているといわれています。

マンガは、小説と同じ「文字で語る」ジャンルですから、こういう小説の強みを違和感なく吸収できると思います。

一方、アニメにすると違和感がある。アニメは、音声や音楽、効果音などの「音で語る」ジャンルなので、小説の技法は取り入れにくいわけです。

ですから、マンガの心理描写を考える上で、小説の「地の文」の技術はとても重要…アニメでは不可能な、「マンガならでは」の演出をする上で、とても重要なんじゃないでしょうか。

地の文にはいくつか種類がありますが、マンガでよく使われるのは次の2種類ですね。

小説では三人称にも3種類あるといわれています。詳しくは以下の記事を参照してください。

一人称の地の文は、マンガでは、かなりの頻度で使われますね。キャラの「心の声」のセリフがそうです。以下のような形ですね。

富樫義博「HUNTER×HUNTER」カラー版25巻より―1人称の地の文

フキダシが無かったり、右側のような「心の声のフキダシ」を使ったりと、色々な形で、頻繁に使われる方法ですね。

三人称の地の文は、マンガでも時々使われます。

最初に取り上げた「HUNTER×HUNTER」の例がそうですね。どのキャラの台詞でもなく、ナレーション的な文章で心理描写する方法です。

登場人物の内面を表現する上での「自由度」は、ある意味で小説よりもマンガのほうが高いです。

小説だと、大勢のキャラクターの内面を同時に表現するのはタブーとされています。なぜなら、どれがどの人物の内面なのかがゴチャゴチャになるからです。

でもマンガでは、1場面で大勢のキャラクターの内面を同時に書いても、吹き出しやコマのおかげでゴチャゴチャになりにくいですね。

そういう意味で、小説では不可能な心理描写が可能なわけです。

三人称を使うと、アクションシーンでありがちな「解説キャラ」が不要になります。

前述の「HUNTER×HUNTER」キメラ・アント編で三人称の地の文が使われているのはそのためかもしれません。

同じ内容で三人称の地の文を使わないとしたら、解説キャラに説明させるか、本人に説明的なモノローグを言わせることになるでしょう。

三人称の地の文を使ったアクションシーンのお手本だと思うので、未読の方には是非一読をおすすめします。

まとめとして、とにかくマンガの心理描写がうまくなりたかったら小説の心理描写を学んだらいいんじゃないか？と思うわけです。

特にに今回考えた「三人称の地の文」で、うまく心理描写できるようになったら、そうとうな武器になるでしょうね。