ミステリーを書こう!と思うとき、すごいトリックを考えなきゃ!と、まず考えるかもしれません。
どうすればすごいトリックを考えられるのか?「ミステリーの書き方」(日本推理作家協会)を参考にしてまとめてみました。
ミステリーだけでなく、色々なジャンルでも使える方法だと思います。
大したことのないトリックでも見せ方次第
この本は、何人かの作家が、自分なりの「ミステリーの書き方」をまとめたものですが、読んでいくと、いくつか共通する話がでてきます。
それは「トリックの質よりも見せ方次第」という話です。以下にその部分を引用します。
トリックというものは…(中略)…物語の中から単独で取り出してしまえば、幼稚で馬鹿馬鹿しく感じられるものだ。
…(中略)…トリックは裸で見せてはだめなのだ。その上に、何らかの美しい洋服を着せてこそ美人に見える―二階堂黎人。
―「ミステリーの書き方」(日本推理作家協会)より
トリックそのものは切れ味が鈍かったり、さほど新鮮じゃなかったりしても、それを包み込む全体のプロットやストーリーに、何かおもしろい視点や切り口があれば、作品はがぜん生きてきます。―綾辻行人
―「ミステリーの書き方」(日本推理作家協会)より
ミステリーを書こうと思うと、今までにないようなすごいトリックを考えなきゃ!と気負ってしまうと思いますが、そんな必要はないみたいですね。
それよりも「美しい洋服を着せる」とか「おもしろい視点や切り口」が大切だということですね。
つまり、「トリックをいかに見せるか」を工夫をしたほうがいいようです。
見せ方のコツ:「雰囲気でごまかせ!」
どうやって「見せ方」の工夫をしたらいいのか?という点は、二階堂先生がもう少し説明されているので、以下に引用します。
トリックや論理の周囲には、それらが世界で一番の美人―とんでもなく神秘的―に見えるよう、過剰なほどの装飾を施す義務が作家にはあるのです。
よって、本格推理小説の場合、自然と、舞台設定や人物設定が平凡ではなくて特異な方向へと傾くし、恐怖感の描写も事件の内容も、中途半端ではなくて、絶対にあり得ないような物凄いものへと徹底されます―二階堂黎人
―「ミステリーの書き方」(日本推理作家協会)より
つまり…
「すごそうな雰囲気でごまかせ!」
ということですかね。あくまで「本格推理小説」の場合に限って説明されてますが、ひとつの方法論として参考になると思います。
まとめ:ミステリー以外でも使える原則
ミステリー以外にも当てはまるように考えると…「弱い部分は他の要素でごまかせ!」ということだと思います。
例えば設定がありきたりであれば、魅力的なキャラクターで盛り上げる。絵が下手なら演出とか心理描写で勝負する。キャラが弱ければ世界観を作りこむなど…
弱い部分を強くするよりも、他のことで補うほうがいい場合があるってことですね。