三幕構成とは?アメリカ式のストーリーの作り方を分かりやすく解説!

アメリカ式のストーリー理論「三幕構成」は、精密に作られた脚本術として有名です。観客をひきつけ、映画を最後まで楽しませる工夫がつまっています。とはいえ「内容が細かくて難しい」という印象を持つ人も多いようです。三幕構成の権威シド・フィールド氏の著書を参考に、できるだけ分かりやすくまとめました。

起承転結と三幕構成の違い

三幕構成と起承転結はほとんど同じで、以下のように置き換えられます。

  • 起=第一幕
  • 承転=第二幕
  • 結=第三幕

日本では「起承転結」でストーリー作られることが多いですが、世界的には「三幕構成」が王道です。

「起承転結」は漢詩の構成理論なので、元々はストーリーの作り方の理論ではありません。ストーリーの作り方の理論が先にあって、それを起承転結に後からはめ込んだものと思われます。ですから起承転結は、ストーリーの作り方の理論としては弱い面があります。

起承転結に関する以下の記事も参考にしてください。

ストーリーの起承転結とは?それぞれの意味を解説!三幕構成と比較してまとめてみた

逆に三幕構成は、ストーリーの作り方として深く研究されているので、一幕・二幕・三幕のそれぞれでどうすべきか、くわしい理論がちゃんとあります。以下に解説します。

 一番のポイントは「主人公の目標」

三幕構成の一番のポイントは「主人公の目標」です。それは文字通りの「〇〇を目指す!」という目標とは限りません。

「〇〇君に告白する!」「犯人を捜す」「生き残る」など、目標の形はさまざま。つまりそのストーリーが「どこに向かうのか」「どこに注目すべきか」を提示し、それを中心にお話を進めていくということです。

これは「ストーリー・クエスチョン」とも呼ばれるもので、これがなければ「構成が破綻している」「話の筋が存在しない」と言われてしまうほど、ストーリーの根本をなすものです。詳しくは以下の記事で解説しています。

story-questionハリウッド式構成の基本「ストーリー・クエスチョン」もしくは「セントラル・クエスチョン」とは?

この基本をふまえて、三幕構成の内容を見てきましょう。

三幕構成の全体像

まずは三幕の全体です。三幕構成についてまとめた世界的な権威シド・フィールド氏の著書『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』を参考にまとめると、以下のとおりです。

各項目の緑のラベルから、詳細の解説にジャンプできます。

一幕 発端 :設定や状況の説明
二幕 葛藤1:目標に向かって前進
葛藤2:三幕に向けて、話の流れが変わる
三幕 解決:結末に向かって話が大きく動く

シド・フィールド『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』菊池淳子訳

第一幕:発端(30分)

ではまず第一幕で何をすべきかをまとめます。カギとなるのはやはり「主人公の目標」です。

主人公の目標を設定する

第一幕でやるべきことは「主人公の目標」つまりストーリー・クエスチョンが何かをはっきりさせることです。

目標を説明するといっても、いきなり「俺は甲子園に出る!」みたいに説明しただけでは、感情移入ができません。そこで第一幕を使って、どういう経緯で、なぜ、なんのために甲子園に出たいのかを説明するわけです。

シド・フィールド氏の解説によると、第一幕の役割は以下のとおりです。

第一幕は、ストーリーを立てて、キャラクターを設定し、ドラマ上の前提を示す。そして、状況を説明し、主要なキャラクターとその他のキャラクターとの関係を設定する。

出典:シド・フィールド『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』安藤紘平、加藤正人、小林美也子、山本俊亮訳 P18


つまり「状況」や「キャラクター」について説明するのが第一幕というわけです。

とはいえ全部を説明する必要はなく、「主人公の目標」設定するのために必要なことを説明すれば十分です。一幕は、2時間映画なら30分ほどしかありません。無駄な説明をしている余裕はありませんね。

観客がストーリーに入り込めるかどうかの分岐点

一幕は「観客がストーリーに入り込めるかどうかの分岐点」です。

設定がよく分からなかったり、主人公の目標があやふやだったりすると、観客は「話のどこに注目したらよいのか」が分からないので、その後の展開も退屈です。

それはルールの分からないスポーツを見ているようなものです。

逆に、設定が分かりやすく説明され、主人公の目標がはっきりすれば、観客はその後のストーリー展開を楽しめます。つまり第一幕は、ゲームのルールを説明するような部分というわけです。

第二幕の前半:葛藤1(30分)

第二幕の内容は「葛藤」です。

映画では上映開始から30分ほどで「プロットポイントI」と呼ばれる切れ目があり、そこから主人公が目標に向かって行動を開始します。話の本番スタート、スポーツの試合開始の部分です。

逆境の中を、主人公が目標に向かって進む

第二幕では「逆境」や「障害」の中を、主人公が目標に向かっていく「葛藤」を描きます。

主人公が目標に向かって順調に進むだけでは面白くありません。甲子園に行きたいのに、校長が野球嫌いで妨害してくるとか、良いメンバーが集まらないなど、いろいろな障害があった方が面白くなります。

いずれにしても第二幕は、主人公が目標に向かって進むところを描く、映画のメインディッシュのような部分です。

第二幕の後半:葛藤2(30分)

二幕が始まってから約30分後は、映画のちょうど中間にあたる折り返し地点で、「ミッドポイント」と呼ばれる重要な切れ目です。「葛藤」を描くという点は同じですが、ここから話の流れが大きく変化します。

起承転結でいう「転」の部分

二幕の後半は起承転結の「転」にあたります。ここから映画全体「後半戦」が始まり、ストーリーの流れが変わるわけです。

後半戦では多くの場合、主人公がどんどん窮地に陥っていく様子が描かれます。例えば映画『タイタニック』では、氷山に衝突した瞬間が「ミッドポイント」で、そこから二幕の後半戦スタートです。

前半30分までは順調に行っていたのに、後半30分からは形勢が逆転するなど、ここから危機感が一気に上昇します。

そして『タイタニック』では、ヒロインを救命ボートに乗せ、主人公は沈んでいくタイタニック号に残るという場面が、第二幕後半のラスト。

最終的に最大のピンチ、あるいはどん底のような状態にまで落ちていくというのが、第二幕の後半です。

ミッドポイントは重要!

「話の真ん中に転換点を作る」というミッドポイントの考え方は、ストーリー構成の基本として、とても重要です。

映画に限らず、TVアニメなどでも、ストーリーを大きく「二つに分割」して構成するのが基本。ミッドポイントを設定することで、ストーリーを結末に向かって動かしやすくなります。

その点は、シド・フィールド氏の解説によると以下のとおりです。

プロットポイントIから行動を前進させ、プロットポイントIIにつなげる事件、出来事、エピソードを考える。それがミッドポイントだ。

出典:シド・フィールド『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』菊池淳子訳 P194

「プロットポイントII」とは、三幕のスタート地点のことです。

後述するとおり三幕では、「新しいストーリーが始まった」といえるほど、ストーリーが新たな展開を見せます。ミッドポイントは、そこに「つなげる」ための準備段階でもあるわけです。

第三幕:解決(30分)

三幕の内容は「解決」です。映画では最後の30分が始まる時点で「プロットポイントII」と呼ばれる切れ目があり、そこから主人公が、目標に向かって新たな行動を開始します。

目標に向かって「再び大きく動き出す」

二幕の後半で窮地に陥った主人公が、何か解決策を見出して、その作戦を実行に移すなど、ストーリーが再び大きく動き出す部分です。

何の解決かというと、やはり最初に設定した主人公の「目標」に到達するための解決です。

前半の「プロットポイントI」の時とは少し違った目標に向かっていくこともあります。同じ目標でも、最初とはスタンスが変わっていることもある。

「映画の最後の30分で、何かが変わる」ということを意識して観てみてください。必ず何か物事が大きく動き出し、エンディングに向かって動き出していることが分かるでしょう。

三幕構成は「最後まで飽きさせないしくみ」

「三幕構成って、結局何なの?」ときかれたら、「観客をストーリーに入り込ませ、最後まで飽きさせないしくみ」だといえるでしょう。

一幕で主人公の目標がしっかり設定されて、観客はそれに感情移入し、「この主人公の願いがかなってほしい」と思いつつ、続きが観たくなります。

二幕で主人公が色々と葛藤する姿を観て、目が離せなくなります。

三幕で、ストーリーが意外な方向に進んで、ますます目が離せなくなります。

三幕構成や起承転結などの「形式に囚われるのは嫌だ!」という意見もあると思います。確かに「囚われる」のはよくないにしても、面白い話を作るための「手段」として利用しない手はないでしょう。

この記事の参照資料

シド・フィールド『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』菊池淳子訳

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術