ストーリーの作り方|引き込まれる冒頭シーンに必要な3つの情報―ありがちな間違いとは?

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ストーリーの冒頭、オープニングの作り方って難しいですね。この記事では、引き込まれるような冒頭の作り方についてまとめています。良いオープニングに必要な3つの情報についてです。冒頭でありがちな間違いについても考えます。ここでいう「間違い」とは、あくまでも「引き込まれない冒頭」という意味での間違いです。

ありがちな間違い

以下のような冒頭は、よくある失敗の例です。

  • 何だかよく分からない詩的なナレーション
  • 謎のファンタジー用語や SF 用語が飛び交うシーン
  • 何をしているのか分からないアクションシーン

これらの冒頭シーンに共通しているのは「何が起きているのかが、分かりにくい」ということです。

もちろん、あえて分かりにくくして演出する場合もあるかもしれませんが、それは「引き込まれる冒頭」の作り方としては普通ではないということは把握しておく必要があります。

次の項目で解説するとおり、意味が分かることは、冒頭シーンの「大前提」とされているからです。

大前提:分かりやすさ

引き込まれる冒頭を作るための大前提は「分かりやすいこと」です。

情報の小出しは、ほどほどに

分かりにくい冒頭を作ってしまう理由は、おそらく、情報を小出しにすることで、ストーリーに興味を持たせようということなんだと思います。

情報を小出しにするというのは、ストーリーの続きを気にならせるテクニックとして重要です。でも、何事もやりすぎは禁物です。隠してもいい情報と、隠してはいけない情報があります。

最低でも「現在」何が起きているか分かるようにする

隠してはいけない情報のひとつは、「現在何が起きているか」ということです。

その点は、リサ・クロン著「脳が読みたくなるストーリーの書き方」で、以下のように説明されています。

さて、次に何が起きるか予想できず、何が起きているかさえもよくわからない場合はどうだろう?

普通なら、すぐほかに読むものを探そうとするものだ。

出典:リサ・クロン著『脳が読みたくなるストーリーの書き方』

脳が読みたくなるストーリーの書き方

「次に何が起きるか予想できず」というのは、この先のストーリーのイメージが全然膨らまない(=予想できない)ということですね。

なぜなら、オープニングで「今何が起きているか」ということすら、理解できないからです。

上記の説明では、分かりやすくする必要があるのは、少なくとも冒頭シーンの「今=現在」についてだということも分かります。冒頭シーンの「過去」や「未来」については、分からなくてもよい場合が多いということです。

「未来=オープニングの後に何が起こるか」や「過去=なぜこうなったのか」などについては、情報を隠したほうが興味をそそられるかもしれません。

でも「現在」何が起こっているか分からないと、興味をもってもらえないということです。

専門用語を避ける

分かりやすいオープニングを作るためのコツを、一つだけ挙げたいと思います。

ファンタジーや SF の冒頭では「専門用語を避けるべき」ということです。

「風の谷のナウシカ」の冒頭では「腐海」「蟲」「瘴気」など、ナウシカ世界の専門用語を使っていません。ユパが「また村がひとつ死んだ」とだけ言います。

ナウシカの世界を知らない人でも意味が分かるようにしているわけです。ファンタジーや SF の冒頭のお手本でしょう。

「分かりやすい」という大前提をクリアしたうえで、冒頭に必要な3つの情報を盛り込む必要があります。以下のとおりです。

必要な情報1:どんなストーリーか

冒頭シーンで、どんなストーリーかを示す必要があります。その鍵を握っているのは「ストーリー・クエスチョン」という要素です。

「ストーリー・クエスチョン」を示す

「ストーリー・クエスチョン」とは、例えば主人公の目標・欲求などのことです。

主人公の目標以外にも、さまざまなストーリー・クエスチョンがありますが、「ストーリー・クエスチョンがなければストーリーとして破綻している」といえるほど、ストーリーに不可欠な要素です。詳しくは以下の記事で解説しています。

story-questionハリウッド式構成の基本「ストーリー・クエスチョン」もしくは「セントラル・クエスチョン」とは?

ストーリークエスチョン=どんなストーリーか?

「ストーリー・クエスチョンが何なのか?」=「これはどんなストーリーか?」ということです。

ですから、これがなければ、ストーリーが始まらないわけです。

ですから冒頭でとにかくこれをはっきりさせなければいけません。

冒頭に必要なのはこれだけと言ってもいいかもしれません。冒頭に必要な要素の、残りの2つは、この「ストーリー・クエスチョン」をはっきりさせるために必要ということです。

必要な情報2:主人公は誰か

ストーリー・クエスチョンを設定するために必要であれば、冒頭で主人公が誰かをはっきりさせる必要があります。

ミステリーなどは、主人公が分からなくてもストーリー・クエスチョンを設定できる場合があります。

とはいえ、ストーリー・クエスチョンは大抵の場合、主人公の欲求とか目標なので、ほとんどの場合、冒頭で主人公を明確にするべきです。

必要な情報3:世界観・設定

世界観や設定も、ストーリー・クエスチョンのために必要であれば、冒頭で説明します。

全部詳しく説明できなくても、ストーリー・クエスチョンを理解するために必要な情報は、最低でも説明するべきです。

ファンタジーやSFでは特に重要ですね。

ナウシカの映画でも、冒頭でテロップを使って、「腐海」や時代背景について説明しています。

まとめ

まず、冒頭は分かりやすさが大前提であることを説明しました。

そして、話に引き込まれるような冒頭に必要な3つの情報とは、以下のとおりです。

  • どんなストーリーか:ストーリー・クエスチョン
  • 主人公は誰か
  • 世界観・設定

これはハリウッド式の構成理論に基づいています。それについては以下の記事を参照してください。

三幕構成とは?アメリカ式のストーリーの作り方を分かりやすく解説!

この記事で引用した本

脳が読みたくなるストーリーの書き方