スポーツ業界などでよく言われる「練習は本番のように。本番は練習のように」という言葉。
これをマンガ・イラストに当てはめると
「下描き(もしくはペン入れ)はいつものお絵かきのように。いつものお絵かきは下描き(もしくはペン入れ)のように」
みたいになるかもしれません。これができているのとそうでないのとでは、絵のクオリティが、かなり違う気がするので、まとめてみます。
「本番は練習のように」を絵にあてはめると
普段のお絵かきで、誰にも見せないからって適当に描いた絵は、けっこう上手く描けるのに…
いざ原稿の下描き!となると、硬くなってうまくできない…ってこと、ありませんか?NHKの「浦沢直樹の漫勉」で、以下のような話がありました。
浦沢もうね「清書」って思っただけでダメなんですよ。「いつものお絵かき」っていうふうにしていかないと…ここ一発いい顔をかくぞ!なんて思った瞬間に「清書」になっちゃうでしょ。だいたいダメですよねそうすると。
―NHK浦沢直樹の漫勉「浦沢直樹」より
まさに「本番は練習のつもりで」って感じですね。
番組ではペン入れの話ですが、下描きにも当てはまると思います。そのことがわかる話が、同じ「漫勉」にありました。
漫画家高橋ツトム氏が、下描きの段階で、主人公のポーズをどうするか悩んでいるという場面。何回も描きなおして、どうしてもポーズが決まらない…
高橋氏は休憩することにし、スタッフとおしゃべりを始めます。何を悩んでいるのか、スタッフに説明するために、原稿に絵を描いていきます。
すると、
高橋あ…これも悪くないな…よしこれでいいや!これでなんかハマりましたね。今適当に描いたから(笑)
ナレーションなんと、休憩中に説明しながら描いていたら、納得のいく姿勢が見つかりました。
―NHK浦沢直樹の漫勉「高橋ツトム」より
休憩でリラックスした上に、説明のための絵ということで、本番のつもりではなかったので上手くいったような感じがします。
緊張したり頭で考えすぎたりすると上手くいかないのは、スポーツもお絵かきも一緒なんですね。
「練習は本番のように」を絵にあてはめると
今度は逆に、「いつものお絵かき」を本番にようにすることについてです。
キャラクターデザインをするときの絵など、誰にも見せないからって、めんどくさい細かい部分をいい加減に描いちゃうことってありませんか?
そうすると、結局デザインのクオリティが落ちて、「本番」の作品のクオリティにも影響する気がします。
練習でお絵かきするときも、なんとなく細かいところがめんどくさくて、さぼってしまったりする。そうすると、細かいところを描くスキルが身につかない。
というわけで、「いつものお絵かき」も、本番のようにディテールにこだわって描いたほうがいいわけです。
まとめ
というわけで、「本番は練習のように。練習は本番のように。」という言葉を、マンガ、イラストにあてはめてみると、以下のようになります。
- 本番は練習のように:下描きやペン入れのとき、いい絵を描くぞ!と考えすぎず「いつものお絵かき」という感じで描く
- 練習は本番のように:キャラデザやイメージボードを描く時や、絵の練習のとき、下描きやペン入れのつもりで、細かいところもちゃんと描く