デジタルマンガの描き方

Webマンガ・デジタルマンガの描き方|カラーでしかできないこととは?「色を使った記号論」

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Webマンガや、電子書籍でマンガを描く上で重要なのは、「カラーマンガのノウハウ」だと思います。この記事では、マンガの基本である「記号論」を「フルカラーのマンガ」にあてはめて考えたいと思います。

カラーマンガと白黒マンガの違い

カラーと白黒では、表現方法が全然違っていて、「次元が違う」と言ってもいいぐらいだと思います。

ただ白黒マンガに色を付けたらカラーマンガになるというわけではなく、カラーマンガはカラーなりの理論をもって書く必要があります。特に重要なのは「色の記号性」について考えることです。

カラーでは色の記号性について考えるべき

「色の記号性」って何なんでしょうか?

参考になる話が、「風の谷のナウシカ」DVDコメンタリーに出ていたので、以下に引用します。コメントをしているのは、庵野秀明と、ナウシカの演出助手を担当した片山一良です。次のシーンでのコメントです。

ナウシカと3人の少女

「風の谷のナウシカ」より―3人の少女の服は、記号論的な色分けである

片山「この、三人の子供の色分けって、けっこうマンガ映画なんだよね」

庵野「まあ、キャラクターは色ですから」

片山「色も記号論の一つっていう・・・(中略)・・・快活な子は赤い服を着てるとかさ」

―出典:「風の谷のナウシカ」DVDオーディオコメンタリーより

「色分けがマンガ映画だ」というのは「マンガ的な記号論を使っている」という意味でしょう。着ている服の色で、キャラクターの性格を表現しているというわけです。

「色でキャラクターの性格を表す」というのは、アニメではよくある手法ですね。たいていは「髪の毛の色」でキャラクターの性格を表現します。

紫とか緑とか青とか…現実ではありえないような髪の色のキャラクターが、たくさん登場するのはそういうわけですね。「色の記号論」は、アニメ業界では一般的というわけです。

この手法を、カラーのマンガでうまく使いたいところですね。じゃあどうすればいいのか?という話の前に、「白黒マンガは線、カラーマンガは面」という話が前提になるので、以下に説明したいと思います。

白黒は「線」、カラーは「面」

白黒マンガは、基本的に「線」で表現する世界ですが、カラーマンガは基本的に「面」で表現する世界です。ほんとにある意味「次元」が違うわけです。

つまり白黒マンガは「線」でお話を作る世界ですが、カラーマンガは「面」=「色」でお話を作る世界だということです。白黒は「線」、カラーは「面」という話の根拠は、夏目房之介の著書にある以下の言葉です。

もっとも重要な要素は線です。もちろん、線ではなく色彩のみによる面であることもあるし、またスクリーントーンやCGによるドットのつくる面が入ることもあります。

ですが、日本では色彩だけによるマンガの絵というのは、あまりありません。廉価な雑誌や単行本が主流で、色をつけるような高価なものはごく一部でしかありません。

(中略)

そういう部分を除けば、現在マンガのほとんどが線画によって成り立っていることになります。

―出典:夏目房之介著『マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法』より

この文章は、マンガは「線」でできた「記号」の集合体だという「記号論」について説明しているものです。記号論について詳しくは以下の記事にまとめています。

マンガの描き方|「マンガ記号論」って何なの?描くときにどう意識したらいいの?

マンガの描き方の理論として「マンガ記号論」というのがあります。 記号論は、マンガが上手くなるために重要ですし、そもそも「 ...

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カラーマンガは「面」であることに軽く言及していますね。白黒マンガが「線」でできた「記号」の集合体ならば、カラーマンガは「面」でできた「記号」の集合体ということになると思います。

この本が書かれた1997年には「電子書籍のマンガ」とか「webマンガ」という概念は一般的じゃなかった。それで、カラーマンガは高価で少数派だから、マンガ論からちょっと外しますと説明していますね。

でも今は、インターネットを通じて、カラーマンガが無料で読めちゃったりする時代です。マンガも「面」のことを考えなければいけない時代がきたんですね。では具体的にどうすればいいのでしょうか?

色の記号を使ってカラーマンガを描く方法

記号論っぽくカラーマンガを描くならば、色を「記号」として、意味を持たせながら描いたほうがいいでしょう。

たとえば、このキャラは明るい性格だから、明るい色の服にする。暗いムードの場面だから、暗い色の壁紙にする。キャラの冷酷さを表現するために、部屋の明かりを、冷たくて青っぽい蛍光灯にする・・・などなど。

とにかく、「色は記号だということを意識して描く」ということでしょう。注目してほしいところは目立つ色をつける。逆に、どうでもいいところに目立つ色を置かないなど、よく考えて色を使うということです。

何も考えずに塗るとどうなるか

カラーマンガは、とにかく色の使い方に注意しないと読みにくくなります。背景に何気なく描きこんだ小物がやけに目立つ色だと、読者はそこに目が行ってしまうでしょう。これは白黒マンガでは起きない現象ですね。

背景に関しては、町並みや人混みの色に統一感を持たせて、「一つの意味に限定させる」ということも必要になってきます。

アニメの場合は、読者の視線誘導はマンガほど重要じゃないので、背景がカラフルでも問題ありません。でもマンガは、読者の視線の流れが大変重要です。視線の流れが変わると、できごとの順番さえ変わる場合があります。

カラーマンガの背景は、アニメの背景と同じ理論ではないと考えた方がいいでしょう。マンガの視線誘導については、以下の記事を参照してください。

マンガのコマ割りのコツ|ネームを切るときの基本「視線誘導」とは?

マンガのネームを切るための基本のひとつとして、よく言われる「視線誘導」というものがあります。 この記事ではその「視線誘導 ...

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まとめ

カラーマンガの場合、白黒マンガでは考えなくてよかった「面」についてや、「色の記号性」を考えなくちゃいけないわけです。こういうところまで意識したカラー作品って、まだあまり出回っていないようです。白黒マンガに色をつけただけの作品がほとんどですね。

まだまだカラーマンガは未発達…という感じでしょう。逆にいえば、そこにフロンティアがある…ってことですね…!

マンガの描き方について、以下の記事も参照してください。

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