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巨大ロボを大きく見せたり、キャラクターの背の高さを表現したりなど、マンガやイラストで「巨大感」や「スケール感」を表現するにはどうすればよいのでしょうか。よく使われる王道テクニックを紹介したいと思います。
巨大感を出すための王道テクニック
巨大感を出すために、昔から使われてきた王道テクニックがあります。それは「比較」です。以下に詳しく解説します。
比較対象を近くに置く
巨大に見せたいモノの近くに、比較となるモノを置くというテクニックです。これだけで本当にかなりの巨大感が演出できます。
例えば、巨大ロボの横に普通のビルを描いたり、背の高いキャラクターの横に、普通サイズの人を描いたりということです。
これは釣った魚のサイズ感を演出するために、自分の顔やメジャーなどを一緒に撮影するという技法と同じですね。
よく知っているものと比較する
比較として置くモノには、読者がよく知っているものを使うのが普通です。比較となるモノのサイズ感が分かっていなければピンと来ないからですね。
よく使われるのは人間ですが、他にも町中にある身近なモノなど、スケール感が分かっているモノなら何でも使えます。
比較するときは同じ距離感で
比較をするときに重要になってくるのが、距離感です。巨大に見せたいモノと、比較にするモノは通常、同じ距離感に置きます。
上記の画像のように「ゾウが奥にいて、人物が手前」という構図でも、ある程度の巨大感は出せます。でもこれだと、人物と比べてゾウがどのくらい大きいのかが、少しあいまいになるわけです。
基本的には、比較となる人物を、ゾウのすぐ横にならべるようにするのが王道ですね。
人物の巨大感は「顔のサイズ」も重要
人物の背が高い感じを出すには、顔と体のサイズ比も重要です。基本的に、体の大きさに対して「顔が小さいと背が高く、顔が大きいと背が低く」見える傾向にあります。
人間の顔の大きさは、背の高さに関係なくほぼ同じなので、背が低い人ほど、体に対して顔が大きくなる傾向にあるからです。
例えば、マンガ『七つの大罪』に登場する巨人の女の子ディアンヌ(27巻の表紙の後列右端)は、ロリ風のキャラデザインの影響で、顔が大きめに描かれています。
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ロリ系のキャラクターは顔を大きめに描くのが普通なので、その点はセオリー通りですね。しかし巨大感という点では、周りに比較となるモノを置かないと、巨人に見えない感じです。つまり、巨大感よりもキャラの魅力を優先したということでしょう。
逆に同作品に登場するエスカノール(27巻の表紙の後列中央)の巨大化後は、顔に対する体の比率がかなり大きく描かれていて、その結果、比較となるモノがなくても巨大な感じに見えます。
このテクニックが使われている有名シーン
では実例として、比較によって巨大感を演出している有名なシーンを3つ紹介します。
実例1『未来少年コナン』
アニメ『未来少年コナン』の第24話「ギガント」で、比較を使った演出が使われています。『映像研に手を出すな!』のアニメ版に登場したことでも話題になったシーンです。
巨大戦艦ギガントが発進するシーンで、どのカットにも必ず黄色い小型飛行艇「ファルコ」が横切ります。
この話数まで視聴してきた人は、この「ファルコ」の大きさが大体わかるので、ファルコと比べてこんなに大きい!ということが一目で伝わるわけです。
実例2『風の谷のナウシカ』
宮崎駿はこの方法をよく用いていて、『風の谷のナウシカ』でも、同様の演出があります。
巨大な蟲「オーム」の初登場シーンです。ナウシカやユパ様が一緒に画面に入ることで、大きさが伝わるようになっています。
このように、巨大なキャラの初登場シーンで、きちんとそのデカさを伝えることが基本だということも学べますね。大きさが曖昧なまま話が進んじゃうのは、なるべく避けたほうがいいでしょう。
実例3『スターウォーズ・エピソード4/新たなる希望』
『スターウォーズ・エピソード4/新たなる希望』の冒頭でも、最初に小さい宇宙船が見えてから、続いて「スター・デストロイヤー」が登場するので、比較によってかなり巨大に感じます。
そもそも、こういう演出は、特撮でよく使われる手法です。ゴジラにしてもウルトラマンにしても、山や建物などと一緒に映すことで巨大感を出しています。「比較」は、大きさを演出するための基本ということですね。
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「比較」は巨大感以外にも使える
比較のテクニックは、巨大感を演出する以外にもいろいろな使い道があります。
小ささの表現にも使える
比較することでスケール感を出す方法は、いうまでもなく、小ささを表現するのにも使えます。
「借りぐらしのアリエッティ」などの小人モノでよくある方法ですが、コップとかティッシュ箱とか、身近な小さいモノと比べることで、小人の小ささが伝わるというやつです。
小さい虫と1円玉などを並べて撮影することと同じですね。
強さの表現にも使える
「比較」はキャラクターの「強さ」を表現するのにもよく使われます。
少年マンガではよく、キャラクターの強さを表現するために「どのキャラより強いか弱いか」という比較で強調されることがあります。特定の敵キャラなどの強さを強調しておいて、「そいつより強い」「そいつを倒した」ということで強さを強調するやつです。
スポーツマンガでも、「強豪校に勝ったことがある」「去年の優勝選手をも負かせた強さ」などの比較が使われることがあります。使い道はいろいろありそうですね。
「比較」は最強の方法
今回取り上げた演出方法は、まとめると、以下のとおりです。
既に読者が知っているモノと比較することで、大きさ、小ささ、強さなどを表現する
アニメや特撮では他にも、重厚感のある効果音を使ったり、ゆっくりした動きなどで巨大感を出せるわけですが、マンガでは、それらがほとんど使えません。マンガでも使えるような巨大感の出し方としては、この「比較」が基本でしょう。