登場人物を「キャラ立ち」させる方法とは?基本のコツと「キャラが立ってない」の原因

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漫画や小説などの登場人物を「キャラ立ち」させるにはどうすればよいのでしょうか。基本的なコツと、「キャラが立ってない」場合のよくある原因を解説しています。

そもそも「キャラ立ち」とは

「キャラが立っている」とは、「個性が際立っている」などの意味で使われる言葉です。

漫画やアニメなどのキャラクターの「キャラ立ち」については、以下のように定義されています。

ゲーム・アニメのキャラクターや人物について、はっきりとした個性が確立されていて、他よりも目立って見える。個性が光る。

出典:キャラが立つとは – コトバンク

重要なのは「個性が確立」されること

つまりキャラ立ちには2つの「立つ」要素があります。一つは架空のキャラクターが実在しているかのように「個性が確立」されること、もう一つは「他よりも目立って見える」ことです。

しかし重要なのは、1つ目の「個性が確立」されるという意味での「キャラ立ち」です。斬新さやインパクトがあって「他よりも目立って見える」かどうかは、あまり重要ではありません。

次の項目から解説するとおり、性格や設定をしっかり作りこみ、キャラとストーリーの内容を連動させることが「キャラ立ち」の基本とされています。

「キャラ立ち」させる方法

ではキャラクターの「個性を確立」して、キャラを立たせるにはどうすればよいのでしょうか。具体的な2つの手順を解説します。

まずはキャラ設定を作りこむ

まずはキャラ設定を作りこんで、性格などの「個性を確立」することが前提です。

どんな性格で、どんな話し方で、何がしたいのかなど、キャラの人格をしっかりと作り込みます。

キャラ設定を考えるコツやアイデアの出し方については、以下の記事も参照してください。

キャラクター設定・性格の作り方|漫画や小説のオリジナルキャラを作るコツ

「行動」や「ストーリー」で立たせる

キャラ立ちは、ストーリーの「全体」によって立たせるのが基本です。

キャラクターのデザインを変える、演技や表情を変える、ちょっとしたサブエピソードを加えるなどの表面的な工夫だけでキャラ立ちさせることは難しいといわれています。

もし自分の作品のキャラが立っていないなら、「キャラ設定」を修正しようとするよりも、まずは「ストーリーそのもの」の内容・構成について、修正すべきところがないか検討すべきということです。

『小説新潮』の元編集長・校條 剛氏は、その点を以下のように説明しています。

小説における人物の魅力は、人物が何もしないでそこに立っているだけでもたらされるのではありません。ファッションショーのモデルとは違うのです。あくまでもストーリーの構成要素として機能することで、キャラが立って見えるのです。

出典: 校條 剛『スーパー編集長のシステム小説術』P123

つまりキャラ立ちに重要なのは、キャラ設定とストーリーがうまく連動して機能しているかどうかです。

キャラ立ちに必要なのは、魅力的な設定ではなく「魅力的なストーリーとのハーモニー」というわけですね。

キャラ立ちするようなストーリーを考えるために、特におすすめの方法は、「ストーリー・クエスチョン」を設定するようにストーリーを練り直すテクニックです。

その方法は以下の記事で解説しています。

story-question ハリウッド式構成の基本「ストーリー・クエスチョン」もしくは「セントラル・クエスチョン」とは?

「キャラが立っていない」よくある原因2つ

キャラが立ってないと思う、もしくはそう指摘された場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。よくある原因を2つ紹介します。

キャラを「無理やり」動かしている

キャラクターをストーリーに合わせて「無理やり」行動させてしまうと、キャラが立ちにくくなります。

「こういうストーリーの流れにしたい」と先に決めたことにこだわりすぎて、キャラクターを無理に動かしていると、行動が不自然になったり、動機が弱くなったりすることがあります。

その点は小説家・宮原昭夫先生の解説によると、以下のとおりです。

「作者は作品の奴隷だ」という言葉があります。……(中略)……。つまり、主人公が作者の意図に従う奴隷なのではなく、逆に、作者が主人公が主人公らしく生きることに奉仕する奴隷だ、というわけです。

出典:宮原昭夫『増補新版 書く人はここで躓く! 作家が明かす小説の「作り方」』―項目『「作者」と「作品」』より

つまり、キャラ設定に不自然ではないように主人公を行動させようとすると、当初の意図とは違った展開にした方がいいと判断され、修正を余儀なくされることがあるということです。

いわゆる「キャラが勝手に動く」という現象ですね。勝手に動くことを許すことで、キャラの動機付けや行動原理がしっかり固まり、「キャラ立ち」につながります。

もちろん、ストーリーの流れを前もってある程度決めておくことは重要ですが、それにこだわりすぎないように注意すべきということです。

こういう状況で、このキャラならどうするか」を考え、流れを変える必要があると気づいたら、柔軟に変更していくことが重要です。

キャラを前提にストーリーを作る方法は、以下の記事でも紹介しています。

2way 物語の作り方は2種類―キャラクター先かストーリー先か、あなたはどっち?

「無駄なキャラ設定」が多い

設定としてつけるキャラの特徴が多すぎると、逆にキャラが立たなくなってしまうことがあります。

「ストーリーと無関係の設定」はつけないのがセオリーです。

その点は大塚英志著『キャラクター小説の作り方』で、以下のように説明されています。

(前略)設定が、これから展開しているドラマにいかに不可分に結びついているかが重要だ、とうことになります。だから、キャラクターの年齢だとか性別だとか髪型であるとか、かくかくしかじかの超能力が使えるとか魔法が使えるとかといった設定をただ「設定」としていくら考えても無意味なのです。むしろ、中核となる「設定」は一つでいいと思います。

出典:大塚英志『キャラクター小説の作り方』第2講

つまり、前述のとおりキャラ設定がストーリーと結びつくことで、キャラが立つわけです。

ストーリーと結びつかない設定をいくらつけ加えても、キャラ立ちにはつながらないでしょう。

もちろん、好きな食べ物とか細かい無駄な設定をつけてはダメということではありませんが、細かい設定のせいで『中核となる「設定」』の印象を薄めないように注意すべきです。

まとめ

キャラを立たせるには、キャラの「個性が確立」されている必要があります。そのためには、しっかり設定を練るだけでなく、ストーリーの中でそのキャラクターがどのように行動していくかが重要です。結局はストーリー構成が面白いかどうかが、キャラ立ちに大きく影響します。ストーリーの作り方については、以下の記事も参照してください。

pen-note ストーリーの作り方を総まとめ!一般的な創作理論を整理して紹介

この記事の参考文献

校條 剛『スーパー編集長のシステム小説術』

 

宮原昭夫『増補新版 書く人はここで躓く! 作家が明かす小説の「作り方」』

 

大塚英志『キャラクター小説の作り方』