当サイトではアフィリエイト広告を使用しています。
「ワンピースの伏線がすごい!」という話がありますが、伏線なんて本当に必要なのでしょうか?この記事では、伏線は何のために張るのか?張ることでストーリーはどのように面白くなるのか?という点をまとめたいと思います。
伏線は何のためにあるのか?
伏線を張って、何かいいことがあるのでしょうか?ストーリーを面白くするのに役立つのでしょうか?つまり伏線は何のためにあるのでしょうか?
伏線を張る意味、効果については次の2つに大別されると思います。
- 回収重視型
- 伏線重視型
つまり目的別に、2種類の伏線の張り方があるということです。以下より具体的に解説していきます。
伏線の張り方1:回収重視型
1つめは伏線を回収するときにストーリーを盛り上げるために張る伏線です。回収するときのための伏線だから「回収重視型」と呼ぶことにしました。
リサ・クロン著「脳が読みたくなるストーリーの書き方」にも、以下のように書かれています。
伏線の最も基本的な形とは、伏線回収よりずっと前に読者に与えておくべき情報の断片であり、それによって読者は、伏線回収に現実味があるかどうかを判断する。
つまり「伏線回収よりずっと前に読者に与えておくべき情報」として伏線を張っておくことで、伏線回収の際に、ストーリーが「現実味」を帯びて、いっそう面白くなるということですね。以下に実例を挙げます。
実例:荒野の用心棒
名作映画「荒野の用心棒」を例に「回収重視型」の伏線について考えてみましょう。
有名なクライマックスの決闘シーンで、この「回収重視型」の伏線が効果を発揮しています。ちなみに「バック・トゥー・ザ・フューチャー3」でオマージュされているシーンですね。次のようなシーンです。
- 主人公がライバルに撃たれる!
- あれ?撃たれたのに倒れない?
- さらに何発も撃たれる!…それでも倒れない?どういうこと?
- ポンチョの下に鉄板を仕込んでいたからでしたー!(以下の画像の場面)
このシーンだけ切り取ると、なんとなく説得力がないと思われないでしょうか。
「ボディ以外を狙われたらどうするんだよ?」「鉄板どっから持ってきた?」などの突っ込みを入れたくなるところです。でも、映画を最初から通して観ると「なるほど!かっこいい!」と納得します。それは効果的な伏線が張られているからです。
物語の中盤で、ライバルが鎧の胸にハートマークを打ち抜くシーンがあります。このシーンによって「このライバルは必ず敵の心臓を狙う奴だ」という情報が加えられます。しかも腕がいいから外さないということもわかります。
この伏線によって、クライマックスで「ボディ以外を狙われたらどうすんの?」とツッコまれる余地をなくして、説得力をアップさせています。しかも「鎧=鉄板」ということで、ラストの鉄板のイメージをさりげなく置いています。
他の伏線として、決闘シーンの前に、主人公が鉄を使って何やら作っているシーンがあります。これらの伏線によって「鉄板とかどっから持ってきた?」とか「超展開!」と言われないようになっています。
このようにクライマックスの仕掛けに説得力を加えて、いっそう面白くするために伏線が張られているのです。この例では説得力アップが目的ですが、他にも「感動アップ」「意外性アップ」など色々な目的で張られます。
伏線の意味その2:伏線重視型
伏線は回収するときだけでなく、伏線を張った時点で効果を発揮する場合があります。「あ、これ伏線かも」と気がついたら、何となく先が気になってしまったということはないでしょうか。
つまり伏線そのものが、盛り上げる効果を発揮するわけです。回収することより伏線そのものが重要なので「伏線重視型」と呼ぶことにします。
リサ・クロン著「脳が読みたくなるストーリーの書き方」にも、以下のように書かれています。
伏線とは、事実、行動、人、出来事など、将来の動きを暗示するものだ。
つまり伏線が「将来の動きを暗示」するという効果を出すことで、ストーリーを盛り上げる役割もあるということですね。
一般的に伏線は、それが伏線だとわからないように「隠し」ますが、この場合はあえて「見せる」伏線です。伏線を隠すべきか見せるべきかという話は、以下の記事を参照してください。
伏線とは?それを回収するとは?伏線はストーリーを面白くするのに大切!
以下に実例を挙げます。
実例:けいおん!番外編#13「冬の日」
「荒野の用心棒」の次にこれが出てくると何か変ですが「けいおん!」の番外編(13話)を例に考えましょう。この話は物語の前半で、伏線をたくさん張っています。以下の3つの場面です。
- なんとなくりっちゃんの様子がおかしい
- あずにゃんが「今度の日曜日は家から出られそうにない」という
- むぎちゃんが「今日はここで」と言って去ろうとする → ゆい「何か用事?」→ むぎ「うん…ちょっと…」
このように「何か深いワケがあるのか?」「なんだろう?」と思わせる伏線が張られています。
これらの伏線には、特にすごい回収があるわけでもありません。結局むぎちゃんはバイトを始めただけだし、あずにゃんも友達の猫を預かるだけ。りっちゃんはラブレターをもらって悩んでいたけど、結局ラブレターじゃなかったというオチです。
このタイプの伏線では、どう回収するかは重要じゃないのです。とにかく「深いワケがあるのかも」「事件が起きるかも!」「なんだろう?」と続きが気になるようにさせるために張るわけです。
目的意識をもって伏線を張ろう!
伏線を張る理由がわかると、伏線を自由に使いこなせるようになります。
例えば「ラストシーンの説得力がないなあ」と思ったら「回収重視型」の伏線を使う。「もっと続きが気になるような演出をしたい」と思ったら、「伏線重視型」の伏線を使えばいいというわけです。
伏線を張ることで、どんな効果を狙うのか?回収するときの感動をアップさせるためなのか?続きが気になるようにするためなのか?目的意識を持って伏線を使いこなしましょう!
まとめ
伏線を張る2つの方法とは、以下の2つです。
- 回収重視型:回収するときにストーリーを盛り上げる伏線
- 伏線重視型:伏線そのものが、先の展開を予感させて、ストーリーを盛り上げる伏線
この記事の参考文献
今回引用したリサ・クロン氏の本はおすすめです。ハリウッドのストーリー構成理論に基づいていて、土台がしっかりしています。
日本のストーリーの作り方は、人によってまちまちな感じで体系化されていないように思いますが、ハリウッドの国アメリカは、しっかり体系化されています。
ストーリーの作り方を学ぶなら、アメリカの本を読むのが基本かもしれません。