ナウシカと3人の少女

デジタルマンガの描き方

Webマンガ・デジタルマンガの描き方|カラーでしかできないこととは?「色を使った記号論」

投稿日:2016年11月26日 更新日:

Webマンガや、電子書籍でマンガを描く上で重要なのは、「カラーマンガのノウハウ」だと思います。

カラーと白黒では、表現方法が全然違っていて、「次元が違う」と言ってもいいぐらいだと思います。たとえば、カラーマンガでは、白黒では考えなくてもよかった「色のもつ記号性」を考えないといけないからです。

この記事では、マンガの基本である「記号論」を「フルカラーのマンガ」にあてはめて考えたいと思います。

(マンガ記号論について詳しくは別の記事「マンガの描き方|「マンガ記号論」って何なの?描くときにどう意識したらいいの?」を参照)

色の記号性とは?

そもそも、「色のもつ記号性」って何なんでしょうか?

参考になる話が、「風の谷のナウシカ」DVDコメンタリーに出ていたので、以下に引用します。コメントをしているのは、庵野秀明と、ナウシカの演出助手を担当した片山一良です。次のシーンでのコメントです。

3人の少女とナウシカ

「風の谷のナウシカ」より―3人の少女の服は、記号論的な色分けである

 

片山「この、三人の子供の色分けって、けっこうマンガ映画なんだよね」

庵野「まあ、キャラクターは色ですから」

片山「色も記号論の一つっていう・・・(中略)・・・快活な子は赤い服を着てるとかさ」

―「風の谷のナウシカ」オーディオコメンタリーより

「色分けがマンガ映画だ」というのは、おそらく「マンガ的な記号論を使っている」という意味でしょう。着ている服の色で、キャラクターの性格を表現しているというわけです。

「色でキャラクター・性格を表す」というのは、アニメでは常識みたいな手法ですね。たいていは「髪の毛の色」でキャラクターの性格を表現します。

紫とか緑とか青とか・・・現実ではありえないような髪の色のキャラクターが、たくさん登場するのはそういうわけですね。

「色の記号論」は、アニメ業界では一般的というわけです。この手法を、カラーのマンガでうまく使いたいところですね。じゃあどうすればいいのか?という話の前に、「白黒マンガは線、カラーマンガは面」という話が前提になるので、説明したいと思います。

白黒は「線」、カラーは「面」

白黒マンガは、基本的に「線」で表現する世界ですが、カラーマンガは基本的に「面」で表現する世界です。ほんとにある意味「次元」が違うわけです。

言い換えると、

白黒マンガは「どんな線を引くか?」にこだわる世界ですが、カラーマンガは「何色で塗るか?」にこだわる世界だということですね。

夏目房之介の分析

白黒は「線」、カラーは「面」という話の根拠は、夏目房之介の著書にある以下の言葉です。

もっとも重要な要素は線です。もちろん、線ではなく色彩のみによるであることもあるし、またスクリーントーンやCGによるドットのつくるが入ることもあります。

ですが、日本では色彩だけによるマンガの絵というのは、あまりありません。廉価な雑誌や単行本が主流で、色をつけるような高価なものはごく一部でしかありません。

(中略)

そういう部分を除けば、現在マンガのほとんどが線画によって成り立っていることになります。

(夏目房之介著『マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法』より。赤字は筆者)

この文章は、マンガは「線」でできた「記号」の集合体だという「記号論」について説明しているものです。カラーマンガは「面」であることに軽く言及していますね。

白黒マンガが「線」でできた「記号」の集合体ならば、カラーマンガは「面」でできた「記号」の集合体ということになると思います。

この本が書かれた1997年には「電子書籍のマンガ」とか「webマンガ」という概念は一般的じゃなかった。それで、カラーマンガは高価で少数派だから、マンガ論からちょっと外しますと説明していますね。

でも今は、インターネットを通じて、カラーマンガが無料で読めちゃったりする時代です。マンガも「面」のことを考えなければいけない時代がきたんですね。

結論として、白黒マンガは「線」でお話を作る世界ですが、カラーマンガは「面」=「色」でお話を作る世界だということです。では具体的にどうすればいいのでしょうか?

色の記号を使ってマンガを描く方法

記号論っぽくカラーマンガを描くならば、色を「記号」として、意味を持たせながら描いたほうがいい。

たとえば、このキャラは明るい性格だから、明るい色の服にする。暗いムードの場面だから、暗い色の壁紙にする。キャラの冷酷さを表現するために、部屋の明かりを、冷たくて青っぽい蛍光灯にする・・・などなど。

他にも、たとえば町並みや人混みを一色で塗りつぶして、「青い部分は町並みだよ」「ピンクの部分は人混みだよ」と、「一つの意味に限定させる」ということもできます。そうすると読みやすくなりますね。

まとめ

とにかく、「色は記号だということを意識して描く」ということだと思います。

注目してほしいところは、目立つ色をつける。

逆に、どうでもいいところに目立つ色を置かない…などなど、

白黒では考えなくてよかったことを考えなくちゃいけないわけです。こういうところまで意識したカラー作品って、まだあまり出回っていないみたいですね。白黒マンガに色つけただけじゃん…というのが多いです。

まだまだカラーマンガは未発達…という感じでしょうね。逆に言えば、そこにフロンティアがある…ってことですね…!

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