映画「たまこラブストーリー」にハマりすぎたのでネタバレ感想を書きます

豆大福とのれん

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何気なく観た映画「たまこラブストーリー」が、思った以上に面白くてハマってしまいました!ストーリーの作り方、まとめ方として学べることを中心に、ネタバレ感想を書きます。



映画としてのクオリティが高い

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この作品は、京アニのTVアニメ「たまこまーけっと」の映画版…というよりスピンオフ的な感じがする作品です。だからあえて「映画『たまこまーけっと』」とはどこにも書いていないんでしょうね。映画だけ観ても楽しめるようになっています。

とにかくこの作品、ストーリーの作り方に関して色々と学べることが多い。特に以下の3点について、勉強になったことをまとめたいと思います。

勉強になったこと
  • 設定を活かす大切さ
  • 設定を活かす以上のことをする大切さ
  • サブキャラの使い方

以下、ネタバレ開始です。

設定をうまく使ったストーリー

この映画、たまこちゃんの心境の変化の描き方が面白いです。しかも、ちゃんと、「もち屋」とか「商店街」という、そもそもの設定を見失わずに展開しているところも、すごいと思います。まずはその点の分析です。

最初はただの「変態もち娘」

映画が始まった時点でのたまこちゃんは、ただもちが好きなだけの「変態もち娘」として描かれます。しかしこの「もちが好き」という感情がベースとして、ストーリーが展開します。

変化にとまどう、たまこちゃん

そんな「変態もち娘」が、幼なじみの「もち蔵」から、突然の告白をされます。

たまこにとって「もち蔵」は、子供の頃から一緒にいて、ずっと変わらずそばにいる存在でした。それが突然「変化」したことにびっくりして逃げちゃいます。

この映画は「変化」がキーワードだと思います。

びっくりしたたまこちゃんは、ちょっと変になっちゃいます。「もち蔵焼いてこようか?」「かしわもち蔵、いくつだっけ?」と、「もち」が「もち蔵」に置き換わっちゃいます。

これはギャグに見えて、実は重要な伏線になっているんですね。

変化を受け入れる演出に「商店街」を使う

変になっちゃったたまこちゃんが、どのように「変化」を受け入れていくのかが、「商店街のみんな」をうまく使って描かれていきます。

まず、「変化」に戸惑っていることの表現です。たまこちゃんは、早朝、いつもと変わらない商店街のみんなを見て…

最後に、もち蔵の部屋の窓が閉まっていて、いつもと違うことを感じる…というシーンです。

これだけで十分、「変化」に戸惑っていることが伝わってくるいいシーンですね。

そして、変化を受け入れていくきっかけも、「商店街のみんな」です。商店街のみんなを見て「みんなにも、いろんなことがあったのかな」と考えるたまこちゃん。

だんだん「変化を受け入れよう」という気持ちになります。

逆境で盛りあげて…

ただ単にこのまま変化を受け入れただけでは面白くありません。

面白いストーリーには逆境がつきもの。変化を受け入れようという気持ちが高まってきたところへ、その気持ちをくじくような展開がくることで盛り上がります。

もち蔵が「あれさ…なかったことにしてくれていいからさ…気にしないでいいよ、今まで通りで、うん、今まで通りでいこう」と言います。

たまこちゃんはそういわれて寂しい…この展開が、逆に、もち蔵にしっかり返事しなきゃ!という感情を高めます。

「おもち大好き」から「もち蔵大好き」へ

そこへきて、「もちが好き」という設定が大活躍します。

なぜもちが好きなのかは、中盤あたりで説明されていました。「すごく落ち込んでた時にね、おもちがしゃべったの…多分、お父さんが」ということになっていました。

お父さんが、おもちを使って励ましてくれたのが、おもちを好きになるきっかけだった…

…と思いきや、ここでふと思い出します。励ましてくれたのはお父さんではなく、もち蔵だったのです。

つまり「おもちが大好き」という設定を土台に、「もち蔵が大好き」という感情に繋がるわけです。これは前述の「もち」が「もち蔵」に置き換わるという伏線も効いています。

「もち」という設定を活かした恋愛として、素晴らしい仕上がりですね!



ただの恋愛話に留めない

変化を受け入れ、前進する話

恋愛モノが、ただの恋愛論で終わっていると残念ですよね。それはテーマについての記事でまとめた4段階のテーマのうち1段階しかないということになるので、すごく薄くなってしまいます。(くわしくは以下の記事を参照)

なぜ必要?物語のテーマとは~小説・漫画のテーマの決め方、考え方

例えばスラムダンクが、単にバスケのマンガというだけではなく、夢とか努力とか、あきらめないことなどの話になっているから面白いわけです。

「たまこラズストーリー」も、ただの「商店街と、向かい同士もち屋の娘と息子の恋愛」というだけで終わっていません。この映画は、「変化を受け入れ、前進する」話になっていると思います。

サブキャラのストーリーも同じです。たまこの親友「みどちゃん」「かんな」「しおりちゃん」の3人も、この映画でちゃんと変化し、前進している。その様子が、たまこちゃんのストーリーとリンクして、うまくシーンを盛り上げています。

ここから、サブキャラは常にメインのストーリーを盛り上げるためにいるべきということも学べますね。

すべてがラストシーンへ繋がる

もち蔵の言葉を、うまく受け止められなかったことは、バトンをうまくキャッチできなかったことや、糸電話をうまくキャッチできなかったことにリンクしています。

そして、たまこちゃんはバトンをキャッチできるようになる。サブキャラも、変化を受け入れ、前進する。

そしてたまこちゃんはラストで、糸電話をキャッチできる。そして返事をする。

つまり、変化を受け入れ、前進する。このように、すべてがラストシーンにつながっていき、見事に「変化を受け入れ、前進する話」になっています。

やられた!このラストシーンが良すぎて、何回も観てしまいました。

まとめ

この作品が、お手本として優れている点をまとめると、以下の3点です。

  • 作品の設定をしっかり活かしたストーリー展開
  • 設定を活かした上で、さらに深いテーマにも繋がるようにすること
  • サブキャラは常にメインキャラの話を盛り上げるために使うということ

今回紹介した作品

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