映画「風立ちぬ」より

ストーリーの作り方

ストーリーの作り方|大抵のクリエイターが考える「裏テーマ」―3つの実例

投稿日:2016年5月2日 更新日:

マンガでもアニメでも、大抵の作品には、観客向けの「表のテーマ」と、

スタッフやクリエーター自身にとってのテーマである「裏テーマ」があるようです(別の記事:「ストーリーの作り方|表のテーマと裏テーマについて」を参照)

この記事ではその実例を、アニメやマンガから3つ挙げたいと思います。そして、そんな「裏テーマ」を盛り込むと、どんなメリットがあるのか?という点もまとめました。

「大友克洋からの脱出!」というテーマ

1つ目の例は、大友克洋の映画「MEMORIES」です。

DVDの特典インタビューで、演出家本人が「裏テーマ」のことを説明していまず。

以下、DVD特典である森本晃司のインタビューの一部を引用します。

(この映画のストーリーは)「ある磁場からの脱出だ」っていうような話なんで…それは、脚本家の今さん(今敏)とも言ってたんだけど。

二人共、大友さんとずっと一緒に仕事をさせてもらってて…いかに大友克洋という磁場から脱出するかっていうような話だなっていうのは、よく、二人で話してて…

それ(大友克洋からの脱出)ができないとこれ(この映画)は、成功じゃないよねっていうのはよく言ってますよね。

ーMEMORIES映像特典インタビューより。()内は加筆

 

MEMORIES

つまり「大友克洋という巨大な才能の近くにいつまでも居るのではなく、そこから脱出して、いかに自分たちの才能を発揮していくのか」という自分たちの話と、作品の話がリンクしているということだと思います。

しかもこの作品は、大友克洋が自身の原作マンガを映像化したもの。つまり、脚本の今敏や演出の森本晃司が原作じゃないわけです。

ということは、最初っからそういう裏テーマをねらって作ろうとはしていないということですね。

「作ってるうちに、だんだん裏テーマが見えてくる」…これは、別の記事で紹介した岡田斗司夫の動画でも説明されていた点ですね

「風立ちぬ」は宮﨑駿本人の話

最近の作品で、わかりやすい例だと「風立ちぬ」ですかね。

この映画は、そういう発想のオンパレードです。中盤に、主人公の二郎と、尊敬する「カプローニさん」との会話で、こんな台詞があります。

映画「風立ちぬ」より―二郎とカプローニの会話(中盤

映画「風立ちぬ」より―二郎とカプローニの会話(中盤)

カプローニ 創造的人生の持ち時間は10年だ。芸術家も、設計家も、同じだ。君の10年を、力を尽くして生きなさい。

―映画「風立ちぬ」より

設計家の映画なのに、なぜか「芸術家」というキーワードを入れてきていますね。つまり、クリエーターにとって、一番脂がのっている時期は10年しかないという話です。

宮崎駿自身のクリエーター人生の話っぽいですよね。そして、この話はラストシーンに繋がります。

映画「風立ちぬ」より―ラストシーン

映画「風立ちぬ」より―ラストシーン

カプローニ 君の十年はどうだったかね。力を尽くしたかね。

二郎 はい。…終わりはズタズタでしたが。

―映画「風立ちぬ」より

これ完全に、宮﨑駿が映画監督としての人生を振り返る話ですね。「アニメーターとして、演出として、監督として、力を尽くしたけど、最後はズタズタだな…」と。

どうズタズタなのかは本人にしかわかりませんが…

手が震えるブラックジャックは手塚先生自身

名作「ブラック・ジャック」にも、「明らかにこれ手塚治虫本人のことじゃん」という話があります。

「震える!」という話で、ブラックジャックは突然、手の震えによって手術ができなくなります。外科医にとっては致命的な症状です。

手塚治虫「ブラック・ジャック」―「震える!」より―手が震えるブラック・ジャック

手塚治虫「ブラック・ジャック」―「震える!」より

手塚治虫自身が晩年に、マンガを描くときに手が震えていたという話を知っている人には、「これ手塚治虫本人の話じゃん」ということが、明らかにわかりますよね。

自分のことを盛り込むと面白い

今回は3つの実例を挙げましたが、他にも挙げればきりがないです。冗談抜きで、みんなやってます。

作品を作る上で大事なことなんでしょうね。

自分の話を盛り込むことで、自分にしか作れないような話になると思います。そういう作品の方が面白い。

それに、岡田斗司夫が動画で言っていましたが、作品が「自分の話だ」ということは、作り手側のモチベーションにもつながります。

裏テーマを盛り込むメリットは、かなりありそうですね。作品が一皮むける…といった感じでしょうか。ぜひ意識していきたいと思います。

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