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漫画や小説に登場させる面白いキャラクター、魅力的なキャラ設定は、どうすれば思いつくのでしょうか?オリジナルキャラの性格や設定の作り方・コツを紹介します。
キャラクター設定のアイデアの出し方
キャラクター設定のアイデアを出す方法として、「既存のキャラ」や「実在の人物」から元ネタを持ってくるという方法を紹介します。
元ネタを探すことは、アイデアを出す方法の基本でもあります。アイデアの出し方の基本については以下の記事でも解説しているので、参照してください。
漫画や小説のアイデアの出し方|才能に頼らないストーリー創作の基本とは
既存のキャラを元ネタにする
キャラ設定を考える簡単な方法の一つは、「既存のキャラ」を元ネタにするという方法です。
好きな漫画・アニメ、小説、映画などに登場するキャラを、盗作にならないレベルで「違う形に料理」することで、新しいキャラを生み出せます。
これは多くのクリエイターが使っている方法ですが、『キャラクター小説の作り方』という本では、その方法が以下のように解説されています。
元ネタのキャラクターを一度、抽象化する…(中略)…名前や年齢や性別やキャラクターが属する「世界観」を全てとっぱらっていって…(中略)…キャラクターの固有性が消滅するレベルにまで抽象化します。その上で、そこに改めて元ネタとは全く異なる外見や性別や名前や時代背景を与えてあげればいいわけです。
つまり元ネタにするキャラを「抽象化」し、そのキャラの魅力のエキス(本質)だけを抽出します。
そこに違う外見や世界観・設定を組み合わせることで、元ネタのキャラの本質を、「違う形で表現」するわけです。
例えば漫画『HUNTER×HUNTER』に登場するキャラ「クラピカ」は、映画『風の谷のナウシカ』に登場する「王蟲」が元ネタになっているというのは、ファンの間で有名ですね。(作者自身がコミックス内で言及)
元ネタの王蟲から「復讐のために目が赤くなる」という部分を抽出し、全く違った外見と設定を組み合わせて、別のキャラに変換しているわけです。
実在の人物をモデルにする
既存のキャラだけでなく「実在の人物」をモデルにするのもありです。身近な家族や友達はもちろん、歴史上の人物を元ネタにしてもOK。
盗作の問題が発生しないので、実在の人物の「外見」を元ネタにしてキャラのデザインを作ってもいいでしょう。実際、実在の人物の「外見」をモデルにしていると思われるキャラは、多くの漫画やアニメに登場します。
現実を材料にするので、既存のキャラを元ネタにするよりもオリジナリティのあるキャラが作れるかもしれません。
実在の人物をモデルにして、キャラの「外見」をデザインする方法については、以下の記事で解説しています。
魅力的なキャラが作れる!漫画・イラストのキャラクターデザインのコツ
キャラクターを魅力的にする5つのコツ
元ネタを使えば、キャラの「基本アイデア」は出せます。でも、そこにキャラの性格や設定などを「肉付け」して、魅力的に仕上げるにはコツが必要です。キャラを魅力的にするための5つのポイントを解説します。
目標を設定する
特に主人公は、ストーリーと連動した「目標」を設定することで、キャラの魅力がアップします。
この点について、ハリウッド脚本術の権威シド・フィールド氏の本では、以下のように説明されています。
魅力的な登場人物を作るのに不可欠な要素は何か。それはこの四つである。
- 明確で強い”ドラマ上の欲求”があること
- 独自の”考え方、ものの見方”を持っていること
- ”態度や意見”を表していること
- ”変化”すること
1の「ドラマ上の欲求」つまり主人公の目標などが「魅力的な主人公を作るのに不可欠」であると説明していますね。
主人公の目標は「ストーリー・クエスチョン」とも呼ばれ、ストーリーに不可欠な要素でもあります。つまり主人公とストーリーが「連動」することで、魅力がアップするというわけです。
「ストーリー・クエスチョン」について詳しくは、以下の記事を参照してください。
ハリウッド式構成の基本「ストーリー・クエスチョン」もしくは「セントラル・クエスチョン」とは?
弱点を設定する
「弱点が重要」というのは、キャラ設定のコツとして有名です。
弱点があることで、「同じ悩みがある」と共感やされやすくなり、「弱さと戦う姿」という魅力が加わります。
さらに弱点がある中でがんばるという「葛藤」が生まれやすいので、ストーリーを盛り上げやすいという点もメリットです。
弱点の重要性について詳しくは、以下の記事を参照してください。
調査やインタビューをする
キャラの設定を深め、リアルにするために「調査やインタビュー」が役立つことがあります。
キャラの性格や設定が、作者自身の性格や状況と、あまりにもかけ離れている場合、リアルなキャラ設定を作るのが難しいことがあるからです。
例えば、映画『アナと雪の女王』のスタッフは、アナとエルサの関係性を魅力的にするために、女性スタッフ達にインタビューして、「姉妹」のあるあるネタなどを調査したそうです。
参考:『アナと雪の女王』大ヒット、ディズニー制作現場の裏側 (2ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
自分の分からない心情や境遇のことは、「分かる人」に質問してリアルな情報を集めるということですね。
キャラ同士の「関係性」を面白くする
キャラ同士の「関係性」が魅力的なことも多くあります。
ドラえもんとのび太、ルパンと銭形、ブラックジャックとピノコなど、各キャラ単体ではなく「セット」になることで魅力が引き立っています。
既存のキャラ同士の「関係性」を元ネタにして、新しいキャラをセットで作ってみるのも一つの方法です。
関係性でキャラ設定を考える方法について、詳しくは以下の記事にまとめています。
キャラクター同士の関係性の作り方|魅力的なサブキャラを作るには?
キャラ設定が「固まる」ようにするには?
キャラ設定が固まっていなくて、「ブレ」があるとダメだとよくいわれます。
作者の中で、そのキャラがどんな人物なのかが固まっていないために、話し方や行動がブレてしまうわけです。意図的にそうする場合は別ですが、キャラの作りこみが甘いせいでブレてしまうのは避けなければいけません。
ではどうすればキャラ設定が固まるようにできるのでしょうか。一つのコツを紹介します。
仮想キャスティングをして「声」や「外見」を具体化する
キャラクターの声や外見を具体化するために、仮想的に俳優や声優をキャスティングしてみましょう。
小説の場合は俳優をキャスティングして「声と外見」の両方を、漫画の場合は声優をキャスティングして「声」を具体化することが役立ちます。
キャラクターの声をイメージする重要性について、小説家の貴志祐介先生は以下のように述べています。
極論かもしれないが、発する「声」が具体的にイメージできるようになれば、そのキャラクターはほぼ仕上がったと考えてもいいだろう。
出展:貴志祐介『エンタテインメントの作り方』角川新書 P120
貴志祐介先生は俳優を「キャスティングする」とまでは言っていませんが、キャラクターの声をイメージする上で、具体的な俳優や声優を当てはめてみることは役立つはずです。
仮想キャスティングによってキャラクターの声や立ち振る舞いのイメージを固め、「仕上がった」状態に近づけることができます。
キャラ設定の注意点
キャラ設定について、よくいわれる「注意ポイント」を紹介します。
ストーリーと関係ない設定を付けない
キャラ設定は、必ず「ストーリー・話の内容と関係させる」必要があります。逆にいえば「設定をストーリーに活かすべき」ということです。
設定はストーリーの流れや、キャラクターの行動に影響を与えて初めて意味があります。ストーリーと関係ない無駄な設定をつけすぎないように注意することが重要です。
これは「キャラを立てる」ことにも関係します。「キャラ立ち」について詳しくは、以下の記事を参照してください。
登場人物を「キャラ立ち」させる方法とは?基本のコツと「キャラが立ってない」の原因
まとめ
この記事で紹介したキャラの設定・性格を考える基本のコツは以下の3つです。
- 目標
- 弱点
- ワンポイント(キーアイテム)
補助的なものとして、「調査やインタビュー」「複数のキャラをセットで考える」という方法も紹介しました。
今回の参考文献
シド・フィールド著『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』菊池淳子訳