当サイトではアフィリエイト広告を使用しています。
デジタルイラストは、アナログで紙に描くイラストと比較して、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しましょう。
デジタルイラストのメリット・デメリット
まずは「デジタル」のイラストについて、アナログと比較した場合のメリット・デメリットを解説します。
修正が簡単
デジタルイラストは、アナログよりもはるかに「修正」が簡単です。
デジタルイラストに使う作画ソフトでは、ほとんどの場合、失敗してもボタン一つで元に戻せます。かなり前の状態まで戻すことも可能です。
また「レイヤー機能」といって、複数の画像を重ねて描いていく仕組みがあり、これも修正しやすさにつながっています。
アナログでは難しい表現ができる
アナログでは難しいような「デジタルならでは」の表現ができるのもメリットです。
デジタルソフトの得意分野である「切り取り」「貼り付け」「画像の変形・加工」などの機能をうまく使って、デジタルならではの表現ができます。
いくつもの写真を「合成・加工」したり、自分の描いた絵を大量に「コピペ」したりなど、アイデア次第でいろいろな表現が可能です。
マンガの場合の「デジタルならでは」の表現については、以下の記事を参照してください。
ランダムなことが苦手
デジタルイラストは基本的に「単純作業」や「均一な作業」が得意で、ランダムで偶然性のあることは不得意です。
アナログでは、いろいろな「偶然」をうまく使った表現をすることがあります。偶然できた「筆のかすれ」とか、絵の具の「表面の凹凸」、絵の具を「はねかけて」偶然できた点々…
そういった表現をデジタルでやるのは難しいです。不可能ではないですが、「不得意」な分野です。
逆に、「ムラなく」「均一」に色を塗りたい場合などはデジタルの方が向いています。ボタン1つ「ワンクリック」でOKです。
アナログで「きれいに」「ムラなく」塗る技術は、昔はアニメなどの現場で必要なスキルでしたが、現代では、ほぼ意味が無くなったといえるでしょう。
共有・保存がしやすい
デジタルイラストはデータとして保存されるので、紙よりも「共有」や「保存」がしやすいのがメリットです。
紙のイラストはその一枚しか存在しないので、プレゼントしたら手元には残りません。
複製するとしても、風合いが変わってしまったりなどの劣化が発生します。
デジタルなら、相手に送っても自分のPCの中に「データが残り」ますし、複製しても劣化しません。紙のイラストのように「保管するスペース」も不要です。
アナログイラストのメリット・デメリット
では次に、アナログで紙に描くイラストは、デジタルと比べてどのようなメリットとデメリットがあるのかを確認しましょう。
一点ものであることの魅力と不便
アナログのイラストは、「一点もの」です。それは長所でもあり、短所でもあります。
一点ものであるということはそれだけ「貴重」ということなので、相手に贈る場合には、それだけ「気持ちがこもった」印象になります。
また、「後戻りできない」という覚悟から、本気の集中力で描けるというメリットもあるでしょう。
しかし「一点もの」であることは、それが傷んだり、破損したり、描き損じたりすると、取り返しがつかないというデメリットでもあります。
ランダムな「偶然性」の表現が得意
前述のとおり、デジタルでは不得意な「偶然性」を使った表現が得意です。
インクを飛ばしたり、紙のざらざらした表面を活かしたり、あえてがさがさした筆で描いたりなど、自由な発想で、いろいろな「偶然性」のある絵が描けます。
このような、作者も意図しなかったような偶然とか不可抗力などを生かした表現は、アナログの最大の長所かもしれません。
きれいにムラなく塗るなら、デジタルの方が効率的なので、アナログで絵を描くなら、ランダムな、ムラのある絵を描かなければ意味がない時代だといっていいでしょう。
アナログとデジタルの色に関する違い
アナログとデジタルの根本的な違いの一つは「色の仕組みの違い」です。それは色の塗り方や、表現テクニックにも影響します。
色を塗る順番が違う
アナログとデジタルでは色の塗り方に関する「制約」が違います。
アナログは色を塗る順番に制限がある
アナログのイラストは、「水彩絵の具」で塗ることが多くありますが、薄い色、明るい色から塗るのが基本です。
なぜなら絵の具は基本的に、色を塗るほどに色が暗くなっていくからです。これを「減法混色」と言います。
このため、暗い色を先に塗ってしまうと、明るい色に戻せなくなってしまうのです。
油彩などは暗い色から塗ることもあります。油彩絵の具は「分厚く」塗れるので、先に塗った色の影響を受けないようにして塗れるからです。
つまりアナログは、絵の具によって、色を塗る順番に制限があるということですね。
デジタルは自由な順番で塗れる
デジタルはもっと自由度が高いので、明るい色から塗ってもOKですが、暗い色から塗る人も多いです。
デジタルの場合は、色を重ねるごとに色が明るくなり、全部重ねると真っ白になります。これを「加法混色」と言います。
とはいえデジタルは、いろいろな塗り方ができるので、どんな順番で塗ってもアナログのように「元に戻せない」ということはありません。アナログの水彩画風に色を塗って、減法混色を再現することも可能です。
デジタルでは、自由な順番で色を塗れるわけです。
使える色の範囲が違う
アナログとデジタルでは、「三原色」が異なるため、使える色の範囲が異なります。アナログの方が、使える色の種類に限界があるのです。
アナログの三原色はCMY
アナログイラストの三原色は、シアン・マゼンダ・イエロー(CMY)です。これは「絵の具の三原色」(色科の三原色)とも呼ばれます。
アナログのイラストは、光が紙の上にある絵の具などに「反射した結果」として見える色であり、表現できる色の範囲が狭く、限界があります。
特に「真っ青」「鮮やかな緑」などのビビッドな色で違いが出やすいです。
デジタルの三原色はRGB
デジタルイラストの三原色の基本はレッド・グリーン・ブルー(RGB)です。「光の三原色」とも呼ばれます。
デジタルイラストは、アナログのように「光が反射した色」ではなく、モニターそのものが「発光して作られた色」で表現します。
そのためデジタルの三原色の方が、色の種類が多く、アナログよりも多くの色を表現できます。ビームや太陽光などの、まぶしく光るような表現も得意です。
そのため、デジタルで作成したイラストを、そのまま印刷すると変な色になることがあります。そういう場合は、あらかじめ印刷に対応した色だけを使うモード(CMYKモード)で描くなどの工夫をして対応すればOKです。
アナログとデジタルを併用する道もある
アナログとデジタルの違いを理解したうえで、両方の良い所を活かして「併用」してイラストを描くというのもありでしょう。
併用するテクニックを、具体的に2つ紹介します。
アナログの線をスキャン デジタルで色塗り
よくある併用方法の一つは、まず紙に「下描き」や、「輪郭線」などを描いて、スキャナーでPCに取り込み、デジタルで色を塗って仕上げるというものです。
デジタルでは、思い通りの「線」を描くのにコツが要ります。特にずっとアナログイラストをやってきた人には難しいことがあります。
そういう場合でも、「線」はアナログで描いて、「色塗り」はデジタルで、という形なら解決できるかもしれません。
この方法を使えば、アナログで描いた筆のかすれなどの「ランダムな偶然性」の表現を、デジタルイラストに取り入れることも可能です。
デジタル画像を印刷 アナログで描き込み
逆に、アナログのイラストにデジタル技術を取り入れることもできます。
例えば、デジタル技術で加工した写真を「印刷」して、その上からアナログで描き込むという併用方法です。
これは特にマンガの現場で利用されています。
まず、PCを使って写真を「マンガ風」に加工します。PCで自動的に加工しただけでは、「いかにも自動で加工した感」が出てしまうので、紙に印刷して、ペンで描き込んだり、絵の具を塗ったりして、自分のアナログのタッチを加えるわけです。
このように、デジタルで作った画像を「印刷」することで、デジタルならではの「写真加工」「切り取り」「貼り付け」「均一な色塗り」などのメリットを、アナログの絵に取り込むことができます。
そうして描き込みを入れた絵を、またスキャンしてPCに取り込んで仕上げてもOKです。
写真を加工してイラストに利用するテクニックについて詳しくは、以下の記事も参照してください。