画像編集ソフトが発達して、写真をイラスト風に加工する技術も進歩しています。写真を元にして、アニメやゲーム・マンガなどの背景を作るというプロも多いですね。この記事では、写真を加工してイラスト風にする方法を3種類紹介します。
目次
方法1:トレース
写真をイラスト風にする技術として、まだパソコンが発達していない昔からあるのがこの「トレース」という技法です。古いながらも、味を出すためにあえてこの技法を使うということがあります。
写真の上から手作業で線画を描く
トレースはアナログでもできます。写真の上に「トレーシングペーパー」という、薄くて裏が透けて見える紙をのせて、写真の輪郭線をなぞって線画を描くという技法です。
デジタルでやる場合は、元となる写真の上に、トレース用のレイヤーを作成し、フリーハンドのペンツールなどを使用して、手作業で輪郭線をなぞるだけです。
デジタルだと写真がきれいに見えすぎて輪郭線をなぞりにくくなりますから、トレーシングペーパーのような透け具合を再現する必要があります。写真のレイヤーの透明度を下げれば、写真がうすくなるので、なぞりやすくなるはずです。
トレースのメリット・デメリット
トレースのデメリットは「余計な手間がかかる」ということですね。輪郭線をなぞって線画を作るだけなら、画像編集ソフトを使って自動でできちゃうので、わざわざ手作業でなぞる必要はないからです。
トレースを使わない方法については、「方法3」の項目で紹介しています。
とはいえ余計な手間をかけてでも、味のある手作業のタッチを加えたいという場合に、トレースの技法を使うということがあります。「手描き感」がメリットというわけです。
方法2:アプリでイラスト風に自動加工
今では高性能な画像編集ソフトやアプリが沢山あるので、わざわざ手作業でトレースしなくても、写真を自動的に加工するだけで簡単にイラスト風にできてしまいます。
ソフトやアプリに搭載された「フィルター」という自動加工の機能を使うだけなので、作業時間は一瞬です。完成したイラストとして仕上げることもできますし、輪郭線だけ自動的に抽出することもできちゃいます。
優れたアプリがいっぱいある
ひと昔前なら、自動加工だといかにも「自動でやりました」感が出ることがほとんどでしたが、今はソフトやアプリの性能が格段に上がっていますから、自動でもかなり自然なイラスト風に仕上げることが可能です。
最近では、スマホ・タブレットの写真加工アプリでも、高性能なものが多くあります。PCで写真加工をするならAdobeの Photoshop (フォトショップ)がかなり高性能です。
白黒マンガの背景を作るなら、マンガ制作ソフトとして有名な CLIP STUDIO PAINT(通称:クリスタ)が、ほぼ一択の状態ですね。
写真をイラスト風に加工できるアプリの一覧は、以下の記事にまとめています。
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自動加工のメリット・デメリット
自動加工なら、ソフトやアプリに画像を取り込んで、少しの数値を入力するだけの簡単操作で、写真をイラスト風にできます。作業効率が格段にUPするわけです。
とはいえ自動加工だけだと、どうしても不満足な部分や、手描きのタッチに負けてしまう部分が出てしまうこともあります。
そこで、自動加工した写真をベースに、手作業の描き込みをどんどん加えていくのが一般的です。それは3つめの方法として、次の見出しで解説しています。
方法3:自動加工+手作業の描き込み
この方法が最もオーソドックスといえるでしょう。ソフトやアプリによる「自動加工」と、トレース的な「手描き」の要素を組み合わせるという方法です。
写真を”下描き”とする
この方法では、ソフトやアプリによってイラスト風に自動加工した写真を”下描き”のように使います。自動加工した写真の上に、どんどん描き込んで、自分のタッチにしていくわけです。
写真を手抜きのために使っているというよりは、「どうせリアルな下描きを描くんだったら、写真ベースでいいじゃん」という感じで、面倒な下描き作業を省略している感じですね。
デジタルでは、写真の上からいくらでも色を塗れます。不要なものを消したりするのも自由自在です。写真から輪郭線だけ自動抽出して、色は全て自分で塗るというのもありです。
白黒マンガの背景を作るために、写真から輪郭線だけを自動抽出して印刷し、アナログで描き込みを入れていくというプロもいます。
自由にオリジナリティを発揮できる
この方法なら、「自動加工っぽさ」が抜けて、作り手のオリジナリティが発揮されます。
デジタルでは、色味を変更したり、天気を変えたり、昼から夕方・夜へと時間帯を変えたり、太陽光の強さを調整したりなど、自由自在ですから、いくらでも自分のタッチを表現できるわけです。
写真と写真を合成するのも簡単ですから、他の写真から木だけをもってきて貼り付けたり、建物だけを持ってきて合成したりなど、オリジナルの風景を自由に作れます。
多くのプロの現場で行われている
実際、多くのプロのクリエーターが、この方法を使っています。
多くの漫画作品の背景、アニメやゲームの背景を描くのに、このテクニックが使用されているわけです。写真ベースで描かれている作品で、手描きの「トレース」をしているケースはほとんどないでしょう。
特にアニメなどの厚塗り系の風景画は、輪郭線なんて描いても、色を塗ったらほとんど消えちゃいますので、「トレース」で手描きの線を加えても、あまり意味がないわけです。
自動加工+描き込みを使っているプロの例については、以下の記事にまとめています。
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まとめ
写真をイラスト風に加工する方法として、以下の3つを紹介しました。
- トレース:輪郭線を手描きでなぞる
- 自動加工:ソフト・アプリを使って、自動的にイラスト風にする
- 自動加工+描き込み:自動加工した写真をベースにして、自由に風景イラストを描く
デジタルイラストで主に使われているのは、3つめの「自動加工+描き込み」です。具体的な操作方法を紹介したメイキングについては、以下の記事を参照してください。
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